「終身雇用の継続は難しい」
先日TOYOTAの社長が発言したことで話題となっています。
その少し前にも経団連の会長が同じ発言をしたことで日本の終身雇用の終焉が幕開けの年を迎えたのかもしれません。
バドミントン実業団選手の雇用とは?
雑誌バドミントンマガジンなどでも実業団選手の一日の流れなどがピックアップされていることもありますが、
多くの日本のバドミントン選手はプロ選手ではありません。
大半の選手は企業で仕事を終えた後に練習を行うか、バドミントンの講習会などを開きコーチングをしつつ生計を保っている選手もいるでしょう。
では今回はいくつかの実業団で実際に行われている雇用形態でこのことについて考えてみたいと思います。
午前中のみ仕事をするバドリーマン(ガール)
全てのS/Jリーガに当てはまることではありませんが、いくつかの大企業に所属する選手は午前中のみの出勤で、午後からはトレーニングというスタイルです。
とある選手と話したときは「タイムカードを押すだけ」という大手企業メーカーの選手もいました。(今はどうかわかりませんが)
さてこのような選手が、終身雇用が崩れてしまうと選手として引退した後どのような形になるのか考えてみましょう。
他の社員との仕事の差
いくつかの大手企業の社員は日々朝から夕方まで業務をこなします。
バドミントン選手の仕事はバドミントンの試合で勝つことが仕事なので、単純に考えると一般社員との仕事の差は出てきます。
以前、日本のとあるトップレベルの実業団を引退した選手と話をした時に、
「他の一般社員は皆仕事ができたので、そのまま会社に残るのはほぼ無理に等しかった」と、語っていました。
要は選手時代はバドミントンが仕事だったのですがいざ会社の業務となるとほとんどできることがなかったそうです。
さて、現在のバドミントン実業団のトップ企業で引退した後も選手が残っている企業と残っていない企業は把握していますか?
ある企業は引退してもそのまま会社員として残れます。
しかしある企業は引退後は相当なレベルで活躍した選手以外はほとんどが退職しています。
気になる方はちょっと調べてみてください。
雇用形態はどこまで守られるか
バドミントン選手として入社したならバドミントンのみに集中すべき。
これはこれで間違いではないでしょうし、そういった環境をこれからも継続できる社会であって欲しいと思います。
しかし現実的に、選手期間の間に開いてしまった他の社員との仕事の差を埋めることは簡単ではありません。
そのような元選手が40代50代となった時に企業は雇用を守ってくれる社会なのか、それとも不可能な社会になっているのか。
常に不安を抱えながらサラリーマンとして仕事を続けなければいけないのか。
今回の経団連の会長やトヨタ社長の発言は会社に雇用されている人にとっては、ある種様々な不安を抱えさえる発言でもあります。
最近の選手の意識はどのようなものか?
一昔前になりますが、男子選手は大学に進学してから実業団に入社するのが一般的なバドミントン選手の既定路線でした。
高校などでトップレベルで活躍した選手は必ずと言っていいほど大学に進学をしていました。
理由は大卒の方が引退後も社内で昇進ができるという理由と時代だったから。
現に高卒で大企業に入社し引退後は出世コースに乗れず会社を辞めた人大卒で入社して早々と選手を引退して出世コースを選んだ人
どちらの選手も知っています。
今の選手は?
現在は一昔前と違ってバドミントン選手としてできる企業やチームも当時と比べ間口は広がっているように感じます。
また男子選手ですと、高卒で企業に入社する選手も増えた印象です。時代の変化と共に変化しましたね。
さてこれらの選手が、引退した後は高卒ではやはり出世は難しいものなのか。
他の社員に比べ仕事にも差がつき、尚且つ高卒という経歴は大企業ではやはり仕事上不利な社会なのか。
AIに多くの仕事が奪われて雇用が減ると言われる時代に、引退した選手は大企業に対し本業の仕事で周囲と対等にできるのか。
結局は時代と共に人間も変化と対応をしていくので収まるとこに収まるというのが僕の考えではあるのですが。
プロバドミントンコーチが増える?
さてここ最近日本でもプロのバドミントンコーチが増えてきた現在。
この波は終身雇用制度が崩壊するにつれ増えてくるのではないでしょうか。
特に実業団チームの多い首都圏近郊などではこれからもどんとん増えることが予想できます。
定年まで会社が雇用を約束できない世の中であるというなら尚更のことです。
おそらくその頃には様々な形態や新しい形のコーチングスクールが増えていることでしょう。
ボランティアコーチはいなくなる?
現在コーチを行なっている多くの年配者は時間に余裕のある方や好きな方が地元でコーチングを行うスタイルが多い印象です。
しかしそれらの方がどんどんと減り、プロのバドミントンコーチが増えてくるとおそらくこの構図も変化するのではないでしょうか。
ヨーロッパでは当たり前に行われていたことが、日本でも根付き始めたということかもしれません。
逆に終身雇用という絶対的安心感がこのようなことを遅らせていたのかもしれません。
バドミントンコーチも選ぶ時代になってきたのですね。
まとめ
バドミントン実業団選手といっても海外を転戦してポイントを稼いでいるような選手はほんの一握りです。
多くの選手は国内で戦いなかなか成績が上がらない選手、怪我などで早々に引退する選手、様々います。
もちろんスポーツの世界なのでバドミントンに限ったことではないのですが、プロスポーツ選手でないバドミントン選手の多くは企業に残る選択ことができます。
経団連の会長やTOYOTAの社長が「保証は難しい」と発言をするようになった世の中、これらのことをどう考えてバドミントン選手は第二の人生を選択すべきなのか。
時代に合わせたバドミントン選手のイノベーションが始まる時なのかもしれません。
合わせて読みたい記事