ふと素朴な疑問。
旅と旅行の違いってなんだろうって。
なんとなく旅というイメージと旅行というイメージが変わるのはなんなんだろうか。
1.期間
去年ですか。ネパールに行ったんですね。
ちょうど1ヶ月の旅行。
「え?1ヶ月で旅行?!」と思う方もいれば「まあ1ヶ月なら旅行感覚だね」と思う人もいる。
一応僕も二十代の頃は約1年半の旅をしていたから類は友を呼ぶというか、似たような友人が多い気がする。
3年間かけて世界一周していたとか、ひたすらアジアばっかり旅をしているとか。
そういう友人からすると1ヶ月という単位は旅行感覚になる。
でも日本で生活しているとそういう友達ばかりでないのも事実で、旅をしていない友達からすると「1ヶ月も?!」となってしまう。
先日友人に会った時に「1ヶ月だけネパールに行ってたんだけど」と言うと「1ヶ月だけって」と苦笑いされた。
久しぶりに世間とのギャップを感じてしまった。
「そうかどこかに勤めてしまうと1ヶ月休むのは簡単ではないか」と。
旅人に上も下もレベルはないのだけど僕からすると1年半の長旅をしても、その中で更にコアな旅人に出会うものだから自分を旅人と感じることは正直あまりない。
どこで旅人としてのコアさを感じるかとなれば一つの理由に期間はやはりあると思う。
大概の話日本人が長旅をするとなれば仕事を辞めざるを得ない。
まあ今の世の中ネットさえ通じればフリーランスで仕事を続けながら旅をするスタイルも普通といえば普通だけど。
でもヨーロピアンからするとその感覚は持ち合わせていない。
以前こんなことがあった。
インドの路上でチャイを飲んでいる時に隣にいたスイス人が話しかけてきた。
「仕事は何をしているんだ?」
「していないよ。旅をしているさ。日本で旅をするには仕事は大概やめなければできないよ。君がすれ違う日本人も大概仕事はしていないよ」
そう言うと男は椅子から転げ落ちた。
「なんだって?!会社はバケーションをくれないのか?!」
「無理だよ。3日休むのも簡単ではないよ」
「日本人は一体何のために仕事をしているんだ?!」
そう言う彼は3ヶ月の休暇を取ってアジアを旅行していると言った。
そう。大体のヨーロピアンはこれが普通。1〜3ヶ月のバケーションを取って海外旅行に行く。
しかしアメリカ人はあまり外国で見かけない。
理由は「自分の国が一番だと思っているから他の国に出ない」という話を聞いたことがあるが本当かどうかわからない。
だけどカナダ人には多く会うがアメリカ人にはほとんど会わないというのは現実かな。
話は少しそれたが僕は旅に期間を設けなかった。無期限の旅だ。
そういう旅人も多いのではないか。
2.場所
「中国に一ヶ月行って北京と上海と青島に行ってきたよ」と言う人と、
「中国に一ヶ月行って昆明から入って雲南とラオス国境付近の町に行った」
と言う人ではやはり後者の方が「旅」感はあるかなと感じる。
もちろん北京、上海、青島の旅だってあるし全然いいと思うけど例えで比べた場合の話。
旅行者は有名都市や大都市を訪れて旅人はコアな行き先を選ぶ。
旅行者もコアになってくればどんどんローカルな町を目指す人はいるけど。
でもそんな先入観というか感覚は大概の人が持っているのではないかと思う。
逆の立場でもそう思うのではないか。
外国人が日本に来て「東京と大阪と京都に行ったよ」
という外国人と「北海道と東北を中心に周ったよ」と言う人がいれば後者の方が旅人感はある。
「お、旅慣れた外国人なのかな」と。
しかし旅行にしても旅にしてもどちらでもいいがどこか地方や外国に訪れたなら有名な場所はサクッと抜けてローカルな場所を観ることを個人的には勧める。
さすがに今の時代有名な場所はどうしても観光地化してしまって観光する人間に合わしてしまっているのでそこの土地の色がない。
だが逆に日本がすごいところだなと思ってしまうのはこれだけ外国からの観光客が増えているのに
東京などにたまに行くと独特の発展の成し遂げ方をしているところに感心してしまう。
なんというか浅草など古い文化も残しつつ尚且つ外国人に合わせた街であり先進的な文化も融合し、原宿などでは日本人も個性的。
海外数百を超える都市を見て来てそう感じるのは僕だけなのだろうか。
東京という都市が異色に見えて仕方がない。
3.お金の使い方
お土産をたくさん抱えている人を見ると「あの人は旅行かな」と勝手にカテゴライズしてしまう。
僕が旅をしていてお土産を買ったことはほとんど記憶にない。
一度だけ南米のボリビアにいた時に安くて日本でも使いたいものが多く会ったので、大量に購入して現地の郵便局から日本に郵送したことがあった。
そもそもカバン一つに必要なものだけを入れて旅をしているのでお土産を買うという発想が出てこない。
いつ帰るかもわからないし、帰るのかすら分からなかったから。
旅行となると交通も時間を金で買うようになるのではないか。
例えば目的地に行くのにいちいち探して行くのも面倒だからタクシーを使うというように。
だが旅となるとその手間が楽しかったりする。
聞き込みをしてローカルのバスに乗り目的地へ行く。
時には間違ってどこか分からない場所で降りて路頭に迷う。
しかしそれすらも楽しかったりする。
だけど旅行の場合そうもいかない。むしろ目的地へ着けなかったら腹立たしくなるだろう。
旅行は目的を楽しんで旅は無目的を楽しむのかもしれない。
また宿泊に使うお金も違ってくる。
旅行は宿泊施設の良し悪しを楽しみにしている人も多いと思う。
3つ星ホテルだったり5つ星ホテルだったり。そこには相当の比重でお金をかける人も多いかもしれない。
でも旅をする人はあまり気にしない。今はどうか分からないが僕が旅をしていた頃はガイドブックかもしくは口コミだった。
安宿の値段なんてどこも大きな差はない。あったとしても数百円程度のものだった。
しかし今は現地でスマホさえあれば簡単に検索できる。
楽にはなったが楽しみも一つ減った感じもするのが少し寂しい。
食事に対するお金の使い方も違ってくるだろう。
僕は旅が身に染み付いたせいか今でも外国へ行っても食事はローカルな店を選ぶ傾向が強い。
レストランよりは食堂そんな感じだろうか。
少し高級な店に入るとどうしても味付けが旅行者向けの味付けになっていたりその店のローカル感を楽しめなかったりするのがなんとなくある。
地元の汚い店に入って現地の人と話をしながら食事をするのが好きだ。
でも旅行でそんなことをして体調が悪くなってしまうと旅行自体が台無しになってしまう。
なのでそれなりに綺麗な店で食事をする方が確かに無難だ。
それにせっかく旅行に来たのだから食事もおいしいと評判の店で食すのも旅行の一つの楽しみだ。
料理一つでその国の旅行が楽しめたりがっかりしたりするのも旅行の一つの楽しみであろう。
まとめ
いかがだったでしょうか。旅と旅行の違い。
僕は旅も旅行も好きで今でも毎日を旅するように生きているそんな感覚もあります。
実際に長い旅をするとそれなりに疲れるのも正直なところ。でも旅行は日頃の疲れを癒すもの。
そんな違いもあるかもしれません。旅行に行って疲れるのは嫌ですもんね。
海外をバック一つで周るのもキャンピンカーを借りて国内を周るのも、田舎を徒歩で周るのも旅は旅。
その人が旅と感じれば旅なんですね。
ここには期間や場所やお金の使い方など、カテゴライズはしましたが実際は自分の心が判断するもの。
旅も旅行も自分の心で楽しめたら良いと思います。
旅も旅行も楽しめる人生。
それができるように、時間とお金に余裕のある生き方がいいですね。